あなたは最澄と空海があやしい呪術を使うって知っていましたか?
『知らない。2人は仏教のエリートじゃないの?』
『陰陽師の術みたいなやつ?』
日本仏教の2大エリートといえは、間違いなく最澄と空海です。この2人が中国に留学して、日本仏教の基礎を作り上げました。当時は、国を統一するための施策という位置づけも大きかったです。
しかし、この2大エリートが作った宗派からは、何やら怪しい噂も聞こえてきます。
密教です。
あやしい呪文?真言(マントラ)?秘密の呪法?
密教というとこのようなイメージがあるかとおもいます。日本仏教は本当に密教から始まったのでしょうか?今回は、最澄と空海が開宗した天台宗と真言宗について解説していきます。
日本最初の仏教は法相宗
日本に天台宗と真言宗が開宗されたのは、平安時代の800年ごろのことです。実は、仏教の伝来はそれよりも300年ほど前になります。
古墳時代のころに、仏像と経典が日本に持ち帰られたとされています。その後、聖徳太子が仏教を政治的に利用するようになり、日本中に広まっていきました。
日本では初めての仏教宗派は法相宗です。662年、道昭によって開宗されました。
この頃の仏教というのは、経典の研究が中心でした。寺ごとの宗派もなく1つの寺に複数の経典があり、一緒に研究をしていたのです。
最澄の天台宗と空海の真言宗が日本仏教の礎
794年、都が奈良から京都へ移されました。経典の研究は奈良が中心でしたが、これに伴って仏教界にも新たな風が吹き始めます。
キッカケは、遣唐使として最澄と空海が留学したことでした。
2人は中国で栄えていた天台宗と真言宗を、日本に持ち帰ってきて開宗するのです。
- 最澄:天台宗|比叡山延暦寺
- 空海:真言宗|高野山金剛峰寺
後に鎌倉新仏教と呼ばれる臨済宗、曹洞宗、浄土宗、浄土真宗の開祖は、みな比叡山延暦寺で修行をするのでした。これが現在も日本にある13の仏教宗派となります。
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あやしい真言(マントラ)を使う?
天台宗と真言宗はともに密教でした。
天台宗の教え
天台宗の教えは以下の4つです。
- 密教:秘密教の教え
- 円教:法華経の教え
- 禅:禅宗の教え
- 戒律:仏教で守ること
密教もありますが、その他の教えもバランスよく配合されております。鎌倉仏教の偉人たちを輩出したのにも、ある意味納得です。
真言宗の教え
続いて真言宗の教えは以下の通りです。
- 密教
・・・天台宗と比較しての偏り具合がすごいですね。
真言宗では、密教の呪法を駆使することで、魔訶不思議な仏のご利益を得ようとするのです。
即身成仏という教えもあり、大宇宙の真理を現した大日如来と一心同体になることで、生きたまま仏になることができるとしました。
即身成仏するための修行は以下の3つです。
- 体密
- 口密
- 意密
大日如来を本尊として、真言(マントラ)という呪文を唱えます。真言、即身成仏、大宇宙・・・なにやら急に日本人がイメージする宗教的要素がたくさん出てきましたね。
さらに、煩悩はあってもOKとしました。
空海は『煩悩は消し去ることはできない。だが、うまくコントロールすれば悟りを開ける。』と教えたのです。
この神秘的な密教と煩悩があっていいというお手軽さは、貴族たちに大ブームを起こしてしまいました。
これをきっかけに、密教って儲かるんじゃね?という風潮になり、平安仏教はあやしい呪術にのめりこんでいきます・・・
しかし、そんなのは本当の仏教ではない!
といって、頭角を現したのが法然、栄西、親鸞、道元です。ここから、鎌倉新仏教という時代が始まるのでした。
まとめ
以上、最澄と空海|2人が日本に広めた仏教は呪術を使う密教?についての解説でした!
最澄は天台宗、空海は真言宗を開宗しましたが、当時の貴族に求められたのは密教でした。お金持ちの貴族が密教をやってくれというのです。仕方のない流れといえば流れでした。
後に旗揚げをする鎌倉仏教の卵たちは、天台宗の比叡山で修行を積みます。皮肉にも堕落しきった比叡山に嫌気をさし、本当の仏教を追い求めるのでした。それが、鎌倉仏教へとつながっていきます。
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