日本仏教の経典は何個あるかご存知ですか?
『経典は唯一のものじゃないの?』
『宗派が違うから、それぞれあるのかな?』
経典とは、1宗教に1個と考えていいでしょう。しかし、日本の仏教は13の宗派に分かれており、同じ経典を使ったり、違った経典を使ったりしています。以下は13の経典です。
- 般若心経
- 華厳経
- 維摩経
- 法華経
- 観音経
- 無量寿経
- 阿弥陀経
- 観無量寿経
- 薬師経
- 大日経
- 金剛頂経
- 理趣経
- 金光明経
今回は、日本仏教におけるメジャーな13の経典を紹介していきます。
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日本仏教における経典は13個?|初心者にもわかりやすく解説
般若心経
般若心経の正式名称は『般若波羅蜜多心経』です。
全600巻もある『大般若波羅蜜多経』のエッセンスを、たった262文字で表したお経です。仏教の真髄を記した経典として、宗派を超えて読まれています。つまり、お経界のキングです。
そして、私たちが目にする般若心経は、西遊記で有名な三蔵法師が漢訳したものです。内容は、釈迦が弟子のシャーリプトラに話しかけるように始まります。
般若心経の有名フレーズといえば『色即是空 空即是色』です。
これは全てのモノには実体がなく、実体だと思っているモノは自分たちがそのように『区別』しているという事です・・・難しいですね。もっとかみ砕いて説明してみます。
あなたは自動車を知っていますか?もちろん知ってますよね。
では、タイヤは自動車ですか?ハンドルは自動車ですか?窓ガラスは自動車ですか?
自動車ではありませんね。
自動車は、タイヤ、ハンドル、窓ガラスなど様々な部品が組み立てられて『自動車』と認識されています。つまり、私たちが区切りを変えれは自動車は自動車ではなくなるのです。
究極の話をすると、宇宙人に自動車を見せても自動車とは判別できないでしょう。鉱物の塊くらいの認識がいいところです。人間だって、有機物の塊としか見られないでしょう。
『色即是空 空即是色』とは、見方や区切りを変えれば、いかようにも見てとれる。そんなモノに実態はないんだよという意味です。
このようにして、般若心経ではひたすら何もないと言い続けます。しかし、最後にどうしても残ってしまうものがあるのです。
それは自分という区切りです。
般若心経を読めば、何も無いということが理解できます。しかし、最後に『般若心経を理解した自分』だけは、どうしても区切りとして存在してしまうのです。
これは相当な強キャラで、そう簡単には消せません。だから、最後は呪文を唱えるのです。般若心経の最後の方に『呪』という文字が増えるのはこのためです。
『行け!行け!彼岸に行け!彼岸に行きつけばそれが悟りだ!幸あれ!』
もう、最後は『YOU いっちゃいなYO』的なノリなのです。最後の最後は『薩婆訶(そわか)=幸あれ!』と叫んで悟りを開きます。
これまでの般若心経のイメージが変わりましたか?お経=怖いという印象がある日本ですが、実は仏教最強の哲学の集合体なのです。
般若心経の詳細についてはコチラ▼
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華厳経
華厳経の正式名称は『大方広仏華厳宗』といいます。華厳経では、悟りを開いたばかりのホヤホヤの仏陀を表現しています。
維摩経
維摩経の主人公は古代インドの商人『維摩詰(ゆいまきつ)』です。維摩詰は口が達者で、仏陀の弟子たちから反感を買っていました。なので、死に際になっても仏陀の弟子は見舞う事を拒みます。
しかし、その中で唯一文殊菩薩だけは見舞に行くのでした。そこで有名なのが『入不二法門品第九』です。文殊菩薩とお供の菩薩32人は、維摩詰に『不二』について説きます。しかし、維摩詰は何も答えません。
維摩詰は、沈黙こそ真理だと示しているのです。
この場面は『維摩の一黙、雷の如し』として有名です。
法華経
法華経の正式名称は『妙法蓮華経』です。『諸経の王』といわれ、大乗仏教では重要な経典とされています。
観音経
観音経の魅力は現世でご利益を得られる点です。観音という言葉は『人々の声(音)を聞き苦しみ(観)から救い出す』という意味があります。
無量寿経(浄土三部経)
観音経とは逆で、来世での往生を願うのが無量寿経です。無量寿経は浄土宗の経典で、阿弥陀如来の誓いを記したお経です。
このお経の中で、阿弥陀如来は人々を極楽浄土へ導くことを宣言しています。
阿弥陀経(浄土三部経)
阿弥陀経では、極楽浄土が豪華に表現されています。最後には、極楽浄土に行くために『南無阿弥陀仏』と唱えるようにと書かれています。
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観無量寿経(浄土三部経)
観無量寿経は親子の悲劇を題材にした経典です。マダカ国の王が、息子に幽閉されてしまいます。王妃は悲しみ仏陀に相談するのでした。そこで、仏陀が極楽浄土に往生する方法を説いたのがこの経典です。
薬師経
薬師経は、薬師如来がまだ菩薩だった時に決意した12の願いについて語られてます。薬師如来は、この12の誓願を立てて悟りを開きました。医者もなく、薬もなく、親もいない者さえ救うという誓いです。
この昔話を弟子の文殊菩薩に語っているお経です。
大日経
大日経の正式名称は『大毘盧遮那成仏神変加持経』です。真言宗の根本をなす経典で、真理を具現する大日如来が修行者の問いに答える形式で書かれています。
金剛頂経
金剛とはダイヤモンドを意味しています。真言三部秘経のひとつです。悟りを開くための具体的な修行法を説いており、瞑想法を伝授しています。
理趣経
一風変わった経典で、男女の性愛について説かれています。仏教における空の哲学から考えると、区切りというものは存在しないことになっています。先ほど、般若心経でも解説しました。
煩悩とされる男女の性愛ですら、悟りを開けば区別できるものではないという理論です。しかし、やみくもに愛欲におぼれて良いというわけではありません。
金光明経
金光明経は『捨て身』を説いた経典です。有名なエピソードに『捨身飼虎』というものがあります。
これは、飢え死にしそうな虎の親子を救うため、自分の身を食べさせるという話です。つまり、自らのことに執着せず、他者を救うことの功徳を説いています。
まとめ
以上、日本仏教における経典は13個?|初心者にもわかりやすく解説でした!
- 般若心経
- 華厳経
- 維摩経
- 法華経
- 観音経
- 無量寿経
- 阿弥陀経
- 観無量寿経
- 薬師経
- 大日経
- 金剛頂経
- 理趣経
- 金光明経
種類が多く、奥も深い経典の数々です。まずは空の哲学『般若心経』からマスターしましょう。
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