あなたは浄土宗と浄土真宗の違いをご存知ですか?
『浄土宗?浄土真宗?言葉しかわからない』
『南無阿弥陀仏の宗派じゃないの?』
日本仏教には主に13の宗派があります。浄土宗と浄土真宗は、13ある宗派の一つです。
名前が一文字増えただけで、その違いってよく分かりませんよね。両方とも阿弥陀如来を本尊にしており、経典も同じです。
というのも、浄土宗と浄土真宗の開祖は師弟関係にあるのです。
それでは、浄土宗と浄土真宗の違い、開祖の法然と親鸞の関係について解説していきます。
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法然と親鸞の経歴
法然と親鸞は、ともに鎌倉時代を生きた僧侶です。
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浄土宗の開祖『法然』
法然は1,133~1,212年を生きた僧侶です。
豪族の子として生まれた法然は、13歳の時に比叡山に登ります。しかし、権力闘争に明け暮れる先輩僧侶たちに嫌気が差して、18歳で下山。
その後は叡空という師のもとで修業をしながら、様々な経典を読み漁ります。そして見つけたのが、観無量寿経でした。
そこには念仏『南無阿弥陀仏』を唱えているだけで、極楽浄土に行けると書かれていたのです。
これがあれば、お金も知識もない大衆も救えると確信した法然は、浄土宗を開宗するのでした。
浄土真宗の開祖『親鸞』
親鸞は1,173~1,263年を生きた僧侶です。
下級貴族の家に生まれた親鸞は、9歳で出家します。その後、比叡山で修行をしますが、堕落しきった先輩僧侶たちに失望します。
29歳で比叡山を下山し、法然の元へ向かうのでした。そこで、先に阿弥陀如来の功徳を学んでいた法然から教えを受け、浄土真宗へと発展させていきます。
浄土宗と浄土真宗の違い
法然と親鸞は師弟関係であり、仲が悪いわけではありません。なので両宗派とも本尊は阿弥陀如来ですし、経典は浄土三部経です。
違った点は阿弥陀仏を言葉にするか、心で想うかです。
浄土宗は『専修念仏』|言葉で南無阿弥陀仏と唱える
浄土宗の教えは、『南無阿弥陀仏(阿弥陀様に帰依します)』と唱えれば、誰もが極楽浄土に往けるという『専修念仏』です。
これまでの仏教は、一部の僧侶だけが修行によって悟りに至るもので、一般大衆を救うことはありませんでした。
しかし、この『南無阿弥陀仏』のおかげで、浄土宗は広く大衆に広まっていきます。その理由は以下の2つです。
- 知識が不要
- 誰でもカンタン
一般庶民の中には文字が読めない人もたくさんいました。そんな人たちに経典を読ませる事は不可能です。また、日々の暮らしだけでも大変なのに、追加で修行の時間を割くことも不可能でした。
つまり、これまでの仏教は大衆にはできない宗教だったのです。
ここに革命をもたらしたのが法然でした。法然は元は比叡山出身の高僧です。
そんなエライお坊さんが『南無阿弥陀仏って唱えるだけで、みんな極楽浄土に往けるよ』と言ったのです。
日々、老病死に苦しんでいた大衆からしたら、スーパースター到来だったのではないでしょうか。
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浄土真宗は『他力本願』『悪人成仏』|心に阿弥陀様を想う
浄土真宗の教えは『他力本願』『悪人成仏』です。しかし、この教えはとても危険な側面を持っています。言葉をそのまま受け取ってしまうと、誤った解釈をされてしまうのです。
- 他力本願:他人のチカラで、自分の願いを叶える
- 悪人成仏:悪いことをすれば、仏になれる
素直に意味を考えると、このようになりますよね。しかし、この認識は不正解です。
間違えると危険なのでもう一回。不正解です。
正解は・・・
- 他力本願:他力とは阿弥陀仏のチカラのこと。阿弥陀仏を信じれば極楽に逝ける。
- 悪人成仏:善人は自分で何でもできると思っている。悪人はそれができない。それなら、悪人の方が他力を信じる。
ニュアンス的にはこんなところです。このような難しい哲学なので、親鸞の教えは間違って伝わりまくります。
親鸞が生前にまとめた『歎異抄(たんにしょう)』という哲学書は、誤解を招くとされ本願寺の書庫に隠されました。
その後、本願寺第八代門主の蓮如がこの本を読み感銘を受けますが、やはりリスクを警戒して再び書庫に戻されます。
そして800年もの時を経て、親鸞という偉大かつ聡明な僧侶の考えが公開されたのです。
まとめ
以上、法然と親鸞は師弟関係|浄土宗と浄土真宗の決定的な違いについての解説でした!
浄土宗は法然、浄土真宗は親鸞。そして2人は師弟関係でした。両宗派とも、信じたのは阿弥陀如来の力です。違いは言葉にするか、心に想うか。
そして親鸞の哲学は危険を伴い、本願寺に隠されました。800年の時を経て、今それを知ることのできる私たちは幸せですね。
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