日本におけるお寺は『死』のイメージが強いですよね。
ただでさえチョット怖いのに、お寺の門には物凄い形相をした仏像が2体も立っていることがあります。
金剛力士像ですね!
別名を仁王様、それぞれの名前を阿形(あぎょう)吽形(うんぎょう)といいます。
あんなに怖い顔をして、彼らはいったい何をしているのでしょうか?
今回は、金剛力士像が作られた理由を解説していきます。
金剛力士像が作られた理由
金剛力士像は、お寺の門に祀られています。その門のことを『仁王門』といいます。
仁王門の先は、仏界とされています。
金剛力士像は仏界に悪いモノが入っていこないように見張っているのです。
金剛力士像は天部の仲間
金剛力士像が仏教においてどのような位置づけなのかを、知っておきましょう。
金剛力士像は仏像でいうと『天部』という分類になります。仏教における仏像のランキングは、以下の通りです。
- 如来:すでに悟った
- 菩薩:悟りは約束されてるけど、まだ修行中
- 明王:大日如来の化身
- 天部:1,2,3のサポート役
あの形相なので、さぞエライ仏像なのかと思いきや、仏教界ではかなり低い位置にランクインしてます。
主な仕事は、上位の仏の補佐です。
仏像の種類の詳細はコチラ▼
関連記事:仏像の種類|如来、菩薩、明王、天部にはそれぞれ役割がある
ま、よく考えてみれば、どこの世界でもそうですよね。トップというのは常に冷静で、ニコニコして鎮座しています。
末端の構成員は、必死に頑張るものです。
金剛力士像もお寺の入り口に配置され、用心棒的な意味で祀られています。
金剛力士像は神様なの?実は帝釈天の化身といわれている
金剛力士は、帝釈天の化身といわれています。
帝釈天は、インドのヒンドゥー教の最強神インドラが日本の仏教と習合した神様です。
帝釈天は敵が現れた時、武装した阿形と吽形に分かれて戦います。
阿形・吽形|左右の位置には意味があった
金剛力士像は、左右合わせて一対の仏像です。
- 向かって右が阿形(口が開いている)
- 向かって左が吽形(口が閉じている)
阿形は心を開き、真実を見ることを諭します。吽形は心を閉じで、煩悩を断ち切るように迫っています。
金剛力士像を見る時は、阿形と吽形の視線が交わる位置に立ってください。仏像から送られてくる3つの気を感じることができます。
- 阿形の閉じた手からは陰の気
- 吽形の開いた手からは陽の気
- 両方からすり寄る足からは殺気
金剛力士像が腰にまとっている衣服(天衣)は、あなたの方に向かって風がなびいているようになっているはずです。
金剛力士像といえば奈良の東大寺
金剛力士像といえば、奈良の東大寺が有名ですね。南門に立像してる姿は8.5mもあり、視線の先に立つと身がすくんでしまいそうです。
奈良の大仏さんの東大寺です。 大仏さんの前に是非、南門の金剛力士を拝んでください。運慶作の鎌倉時代の最高傑作の国宝です。大きさ、力強さ、迫力、芸術性、歴史、学術的に満点です。しかも拝観料を払わなくても見れます。
引用:グーグルマップ
金剛力士像を作った人は運慶
東大寺の金剛力士像を作ったのは『運慶』といいます。平安時代から鎌倉時代で活躍した仏師です。
現存するこの時期の作品としては建仁3年(1203年)造立の東大寺南大門金剛力士(仁王)像がある。造高約8.5メートルに及ぶ巨像2躯は、1988年から1993年にかけて解体修理が実施された。その結果、阿形像の持物の金剛杵内面の墨書や吽形像の像内納入経巻の奥書から、運慶、快慶、定覚、湛慶(運慶の子)の4名が大仏師となり、小仏師多数を率いてわずか2か月で造立したものであることがあらためて裏付けられた。
引用:Wikipedia
8.5mもある巨大な仏像を、わずか2ヵ月で作ってしまうとは・・・すごいとしかいいようがありませんね。
まとめ
以上、金剛力士像が作られた理由|険しい形相で立っているのには意味があるについての紹介でした!
金剛力士像は、お寺を守るために存在しています。
仏像のランクとしては天部という下層に位置し、上位の仏たちをサポートするのが役割です。
有名な金剛力士像は、奈良の東大寺にあります。運慶という仏師によって、わずか2ヵ月足らずで作られました。
なんで怒っているのかよくわからなかった金剛力士ですが、本当の意味を知れば怖くなくなるかもしれませんね(^^♪
その他の天部の種類と特徴についてはコチラ▼
関連記事:天部の種類と特徴|祟りがあって怖いとされるのは何故?