最近、テレビや広告で『永代供養墓』というお墓をよく見かけるようになりました。
通常の墓というのは、亡くなった後の供養を継承する跡継ぎを必要とします。しかし、このスタイルが現代の日本にミスマッチ。少子化、家族のあり方の変化より、お墓の継承者を確保できなくなりました。
その結果、永代供養墓という新しいお墓が誕生したのです。
それと同時に『本当にずっと供養してくれるのか?』『他の人の骨と一緒にされるのか?』など様々な疑問も湧いてきます。
今回は、永代供養墓とはどのような仕組みのお墓なのかを詳しく解説していきます!
永代供養墓とは?読み方は?
永代供養墓とは『継承者が不要の墓』のことをいいます。読み方は『えいたいくようぼ』です。そのスタイルは多様化しており、合葬墓、納骨堂、樹木葬など様々な呼び方があります。
永代供養墓
仏教的な表現で、寺院などで用いられることが多い呼び方。
合葬墓
宗教的要素は小さく、公営・民営の霊園などで用いられることが多い呼び方。
通常の墓というのは継承者が必要ですが、近年の少子化や核家族化によって墓を継承できない家が増えてきました。
永代供養墓の始まりは1985年、日本仏教の中でも歴史ある天台宗が、比叡山延暦寺大霊園の一角に『久遠墓』を整備したのがキッカケとされています。久遠墓は『永続的に個人だけの墓で供養』してもらえるタイプの永代供養墓です。
永代供養墓には、大きく分けて3つの種類があります。
- ずっと個人の区画だけで供養される
- 一定期間は個人区画、その後は合祀される
- 最初から合祀される
継承者のいなくなったお墓の遺骨は『無縁仏』と呼ばれ、他の遺骨と一緒に合祀されます。無縁仏は②③と同じように思えますが、永代供養墓なら管理する寺院や自治体がハッキリしているので無縁になるという事はありません。
無縁仏の問題についてはコチラ▼
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また、継承者がいる場合でも墓参りや菩提寺との付き合いの大変さから、従来の家墓を辞めようと考えている方も多いです。
墓地の承継者の有無の割合では、「承継者はいる」と「承継者はいるが、負担はかけたくない」を合わせて 58.3%が承継者がいると答えている。
引用:厚生労働省
コチラの調査では1,115人のアンケートの結果、23.5%の人が『継承者はいるが、負担をかけたくない』と回答しています。この結果からも、永代供養墓の需要は今後も増加していくと考えられます。
永代供養墓のメリットとデメリット
継承者が不要というメリットは魅力的ですが、デメリットがないわけではありません。様々な角度から永代供養墓を見てみましょう。
メリット
- 継承者が不要
- 無縁仏になる心配がない
- 家墓と比べて安い
一番のメリットは、やはり継承者がいらないという点です。『子供はいるが姉妹で嫁いでしまった』『一人息子が結婚しない』など、核家族化や少子化以外にも需要は数多く存在しています。
そして、無縁にならないという安心感も重要です。一般的なお墓で継承者がいなくなってしまった場合、無縁仏としてどこかに合祀されます。
また、家の名前を刻んだ家墓というのはとても高価です。以下、全国石材優良店の会からの引用となります。
東京23区 | 160万~200万円 |
---|---|
東京23区外 | 40万~60万円 |
神奈川県 | 40万~60万円 |
千葉県 | 20万~40万円 |
埼玉県 | 30万~50万円 |
引用:全優石
これに加えて、永代使用料、設置料などを考慮すると、1基の墓を建てると150~200万円ほどの費用が必要です。
それと比較して、永代供養墓なら50~100万円くらい済むので、経済的にもラクといえます。
デメリット
- 合葬されると遺骨は取り出せない
- 宗派を問わないが、管理者の宗派で供養
- 改葬(墓じまい)が必要
先ほど紹介した久遠墓のように永続的に個人で供養してもらえる所もありますが、永代供養墓というと一般的には他の遺骨と一緒に合祀する合葬です。
そのため、納骨した後に『やっぱり遺骨を取り出したい』という要望に応えるのは困難となります。
また、永代供養墓は宗派不問のところが多いですが、供養はそのお寺や霊園のおかかえ寺院の宗派となる場合が多いです。自分の宗派にこだわりがある場合、事前にしっかりと確認する必要があります。
そして、すでに先祖代々の墓がある場合、改葬というお墓の引っ越し作業が発生してきます。
改装(墓じまい)の方法についてはコチラ▼
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永代供養墓の種類
続いて、永代供養墓の種類について紹介していきます。
個人墓(こじんぼ)
先祖代々の遺骨が納められる家墓とは異なり、1人だけを納骨するお墓です。近年では夫婦用に2人を納骨できるタイプもあり、ニーズに合わせて多様化してきています。
合葬墓(がっそうぼ)
家族や親族などの身内の枠にとらわれず、他人の遺骨と一緒に納められるお墓のことをいいます。合祀と呼ばれることも。
永代供養墓の中でもコストがかからないので、費用を安く抑えることが可能です。
納骨堂(のうこつどう)
近年、納骨堂というお墓をよく耳にするようになりました。室内型の施設で、ロッカータイプ、仏壇タイプ、自動搬送タイプなど様々な種類があります。
永代供養墓は首都圏での需要があり、東京都の納骨堂は年々増加しています。
納骨堂数の推移(東京都)
平成13年 | 292 |
平成14年 | 300 |
平成16年 | 303 |
平成17年 | 310 |
参考資料:衛生行政報告例
ただ、同資料によると通常の墓地は1万件弱で推移しており、納骨堂はまだまだ少数派といえます。
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その他の永代供養墓として、宗派の本山に納骨してもらう本山納骨、地面に遺骨を埋めてその上に木を植える樹木葬などがあります。
永代供養墓の費用と相場
永代供養墓の費用相場はピンキリですが、個人墓と合葬墓で大きく値段が変わります。単純な話ですが、個人墓は維持コストがかかりますが、合葬墓なら低コストで運営できるためです。
参考までに、いくつか永代供養墓の費用を紹介します。
- 多摩聖地霊園:29万円~
- 練馬むねの木ガーデン:48万円~
- 花小金井ふれあいパーク:50万円~
こちらの情報は『いいお墓』から引用しました。
お墓のポータルサイト『いいお墓』では、日本全国7,700以上の霊園を掲載しており、様々な特色・条件で検索・比較ができます。また、 複数の霊園の資料請求・見学予約がWEB・電話で簡単!
コールセンターには専任スタッフおり、無料相談を受け付けてくれます。さらに、 見学予約→見学で3000円、お墓の成約で10,000円のギフトカードプレゼント!
永代供養墓というは、基本的に1遺骨当たりの料金を提示しています。先祖代々の家墓に5つの遺骨があったら、5倍の費用が発生するのでご注意ください。
維持管理費と法事のお布施
永代供養とは、寺院や霊園が供養の管理を担います。そのため、基本的には最初に納める費用だけで済みます。もし管理費や年会費が必要な場合、継承者が必要になるので注意しましょう。
中には生前に契約して、亡くなるまでは管理費を払うようなスタイルもあります。千差万別なので、契約前に規約をしっかりと確認してください。
また、供養はされませんが、散骨してしまえば管理費や継承者は不要となります。散骨の実情は法的にもグレーゾーンですが、選択肢の一つに考えるもアリです。
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