あなたは死んだ後にどれだけ裁かれるかご存知ですか?
『閻魔大王の裁きだけじゃないの?』
『そんなの全く分からない』
嘘をついたら舌を抜かれることで有名な閻魔大王様。実は5回目の裁判官です。死んでから次の行き先が決まるまでには、7日おきに7回の裁判を受けることになります。
最初の裁判日を初七日、最後の裁判日を四十九日といいます。
ここに中国の儒教思想が加わり、追加で3回の裁判が設定されました。なので、次の行き先は一応この時点で決定します。儒教の影響による追加の裁判は以下の通りです。
- 百か日
- 一周忌
- 三回忌
百か日はあまり聞きませんが、一周忌、三回忌はご存知ですよね。このように、法要は死者の裁判に合わせて行われます。
それにしても日本の仏教って葬式・法要ばかりです▼
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それでは、あなたの死後、どのような流れで次の転生先が決まるかを解説していきます。
地獄の十王
10回の裁判では、生前の行いについて調べられます。仏教で守らなければいけない五戒を守っているかがポイントです。
- 不殺生戒:生き物を殺さない
- 不偸盗戒:盗みをしない
- 不邪淫戒:性愛をしない
- 不妄語戒:嘘をつかない
- 不飲酒戒:酒を飲まない
それでは十王裁判の始まりです。
【初七日(7日目)】秦広王(しんこうおう)不動明王の化身
死者はまず死天山に降り立ちます。そこから7日間歩くと一番目の法廷にたどり着きます。
- 裁判官:秦広王
- 化身:不動明王
ここでは生前に殺生を犯したか、鬼(獄卒)に棒で叩かれながら尋問されます。
この後に三途の川を渡ることになります。三途の川の詳細はコチラ▼
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【二七日(14日目)】初江王(しょこうおう)釈迦如来の化身
三途の川を渡り終えると、二番目の法廷に到着します。
- 裁判官:初江王
- 化身:釈迦如来
ここでは生前に行った盗みについて尋問されます。
【三七日(21日目)】宋帝王(そうていおう)文殊菩薩の化身
続いて三番目の法廷に到着します。
- 裁判官:宋帝王
- 化身:文殊菩薩
ここでは生前の邪淫について尋問されます。猫に性器をかみちぎられたりします。
【四七日(28日目)】五官王(ごかんおう)普賢菩薩の化身
続いて四番目の法廷に到着します。
- 裁判官:五官王
- 化身:普賢菩薩
ここでは生前についた嘘について尋問されます。秤があり、死者を乗せて罪の重さを計量します。
罪が重ければ、次の閻魔王を待たずして舌を抜かれることもあります。
【五七日(35日目)】閻魔王(えんまおう)地蔵菩薩の化身
続いて五番目の法廷に到着します。
- 裁判官:閻魔王
- 化身:地蔵菩薩
閻魔王の宮殿には光明王院と善名称院があります。
光明王院には浄玻璃という鏡があり、生前の善悪の行動が映し出されます。閻魔王は過去の裁判結果と、鏡に映された映像を元に判決を下します。
十王における閻魔王は絶対的な権威があり、この判決でのちの判決はほぼ決定します。
閻魔大王と地蔵菩薩の意外な関係はコチラ▼
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【六七日(42日目)】変成王(へんじょうおう)弥勒菩薩の化身
続いて六番目の法廷に到着します。
- 裁判官:変成王
- 化身:弥勒菩薩
閻魔王の審判に基づき、相応の判決を下します。多くの場合、虎に食べられたり、火を噴く馬に追い掛け回されたり、大変な思いをします。
【七七日(49日目)】泰山王(たいざんおう)薬師如来の化身
続いて七番目の法廷に到着します。
- 裁判官:泰山王
- 化身:薬師如来
六王の審判結果をもとに、善が多いか悪が多いかを比較して最終的な判決が下ります。
ここまでの裁判結果で、六道のいずれかに進むことになります。
残念ながら、人間はほぼ地獄行きです。殺生、性愛、飲酒、嘘、盗み。盗みはないかもしれませんが、他の4つは99%の人間が犯していますからね。
来世の転生先は六道・十界あるとされています▼
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後の裁判は、儒教思想による後付けとなります。救済措置の追加裁判です。
【百か日(100日目)】平等王(びょうどうおう)観世音菩薩の化身
続いて八番目の法廷に到着します。
- 裁判官:平等王
- 化身:観世音菩薩
ここからは一度下った審判の救済です。臼で挽かれて辛い思いもしますが、布施を行えば仏教の本質を教えてもらえます。
【一周忌(1年目)】都市王(としおう)勢至菩薩の化身
続いて九番目の法廷に到着します。
- 裁判官:都市王
- 化身:勢至菩薩
地獄の責めに耐え続けること約300日。都市王に救いを求めると、2つの道を示してくれます。
- 法華経を信じること
- 阿弥陀如来を信じること
さらに、8つ戒律を守れば助かるだろうと教えてくれます。
- 殺生しない
- 盗みをしない
- 性愛をしない
- 嘘をつかない
- 酒を飲まない
- 昼過ぎに食事をしない
- 贅沢をしない
- 豪華なベッドに寝ない
この教えを説いてくれている間も、地獄の責めは続きます。
【三回忌(3年目)】五道転輪王(ごどうてんりんおう)阿弥陀如来の化身
続いて十番目の法廷に到着します。
- 裁判官:五道転輪王
- 化身:阿弥陀如来
ここでは意外な珍事が発生します。
死者へのあまりに辛い責めを見ている十王は、実は自分たちもこの地獄は耐え難いと言い出すのです。
そして、釈迦如来に救いを求めます。そして釈迦は悟りの開き方を教え、十王は修行に励むのでした・・・
まとめ
以上、仏教の死後|裁判は7回じゃなく10回?地獄の十王による裁きについての解説でした!
ほとんどの人が地獄行きという結果には驚きですね。そして、今までさんざん地獄に落としてきた十王の『泣き』にはビックリです。
それにしても、地獄にだけは落ちたくないですね。
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